2012.01.31 Tuesday
島根県・出雲大社本殿 大改修で体験する 先人の知恵、技術
傘を差さなければ歩けないほどの雨なのに、境内は若い女性のグループや熟年夫婦らで、にぎわっていた。
旧暦10月の出雲大社。ほかの地域では神無月だが、出雲では神在月(かみありづき)とされる。全国の神様が男女の名前を持ち寄り、相談して良縁を結んでくれるという縁結びの地だ。
大社がいつからあったかは分からないが、かなり古いことは間違いない。現在の本殿は江戸時代の1744(延享元)年に建てられ、3度の大改修を行った。最後は1953(昭和28)年で、傷みが出てきたため、3年前から大屋根の全面ふき替えなどの大改修中で、2013年の式年遷宮に備えている。
■「60年に一度」に気合
三方を山で囲まれた高台にある本殿は、鉄骨造りの素屋根で覆われている。大社の象徴ともいえる分厚い檜皮(ひわだ)ぶきの大屋根は外からは見えない。
「大屋根のふき替えはひとまず終わり、ご本殿の周りの縁や棟飾りなどにかかっています」
大改修を指揮する清水建設の工事長、金久保仁(54)が説明する。東京の浅草寺や池上本門寺などを手掛け、歴史的な建物の修理経験は豊富だが、出雲大社の担当に決まった時には「気合が入りました」という。
「日本の代表とされる建築ですからね、やりがいがあります。60年に一度しかないチャンスで、責任ある仕事を任されたんですから」
話を聞きながら素屋根の中に入り、作業用に組まれた足場に上ると、黒びて重量感のある本殿が目の前にあった。本殿を間近に見られる機会はめったにない。3年前の一般公開で、約30万人が訪れたのも納得できる。
雨水などで傷んだ北側の縁を取り換えていた与那原幸信(45)は、「木は、時間がたつと動く(狂う)んです。十分干してあるんですが、これだけ大きいとわずかに動く。それを計算に入れて取り付けています」。
縁板の幅は30センチから50センチと普通だが、厚さが21センチもある。吉野ヒノキで、民家だったら柱が6本も8本もとれるという。
どうやってやったのか
さらに上の足場に立つと、巨大な屋根が目の前に迫った。ふきたての大屋根は、檜皮の黄色が鮮やかだ。大きさは片面だけで縦13メートル、横21メートル、バレーボールのコートの約1.7倍。両面で使う檜皮は約64万枚、約47トンと、素人には実感できない数字が並ぶ。
本殿の正面と背面を飾る木製の棟飾りを、銅板で覆う作業が行われていた。飾りは、湧き上がる雲のような曲線を組み合わせた複雑な文様。腐った木の部分を外し、新たな木で補修した後、銅板を張り、木づちなどでたたいて覆っていくのは、技術がいる。
仕上げをしていた安達好宏(29)は「昭和の大修理の跡を見ると、水が入り込まないような工夫もしていて、驚きます。当時の技術に負けないよう頑張りたい」。
修理の過程で分かる先人たちの技術のすごさ。大屋根の下地の木組みを担当した後藤史樹(52)は、昭和大修理での驚くような痕跡を見つけたという。分厚い檜皮を載せたまま、屋根を支える「はね木」を取り換えていたのだ。
「屋根があるまま、はね木を取り換えるのは危険なんです。どのようにやったのか。昔の職人さんの賢さの足元にも及ばないが、なんとか近づきたい」
■かつては高さ48メートル?
檜皮のふき替えを担当したのは岡山市の工務店、与那原は福井県、安達と後藤は、地元松江と安来の会社からやってきた。各地からやってきた職人たちが、ここで先人の技術を学び、次の仕事に生かす。古いものをそのまま伝える木造建築の大修理は、貴重な技術伝承の場になっている。
現代の職人たちを刺激する話が大社にある。現在の本殿は高さ24メートルだが、かつては倍の48メートル、さらに昔は96メートルだったという言い伝えだ。長い間、疑問視されてきたが、2000年の発掘調査で、少なくとも48メートル説が現実味を帯びてきた。
境内から、直径1メートルを超す杉の丸太3本をまとめて1本とした柱が、3カ所で出土したのだ。鎌倉時代前半に造営された本殿の跡だった。現在の柱の直径は80センチほどだから、当時の高さはどれほどになるのだろうか。
建築学者5人が復元を試みた模型が、大社近くにある島根県立古代出雲歴史博物館に展示されている。5人のうち2人が48メートル、2人が40メートルの高さと推定した。
「国譲りをした出雲の神のために宮殿を造ると、高天原(たかまがはら)の神が約束した神話が『日本書紀』にある。その宮殿の柱は高く太く、板は広く厚くするとも。出雲大社の本殿の高さは、大社の創始にかかわる重大な要素なのだろう」と、歴史博物館専門学芸員の平石充(43)。
40メートルを超える本殿があったとしたら、どんな技術で建てたのだろうか。想像は膨らむ。
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